《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「え、いいんですか?」


「今日だけだからな」
秀馬の言葉に瞳を輝かして頷く一子。

一子が手を伸ばして秀馬の頰に触れた。

「つ! 冷たっ! 雪女並みに冷たっ」
一瞬指が触れただけで、秀馬は体を起こしていた。


「ごめんなさい。私、冷え性で」
すまなそうに謝る一子。

両方の手をこすり合わせながら、一子は満足そうに微笑んだ。
「触れたのは、一瞬だけど、嬉しかったです。ありがとうございます」


「そりゃ、良かったな。そんなに手が冷たいなら手袋ぐらいしたらどうだ?」


「あるんですけどね〜。片方」
コートのポケットから片方だけ、ノルディック柄で、赤と白で編みこまれた毛糸の手袋を出して見せる一子。


「なんで片方なんだ?」

「さあ? 昨日から無いんですよ。うちにはたくさんあるんですよね。片方だけの手袋とか〜靴下とか〜へへっ」


ーーー笑い事か? 単にだらしないという事じゃないのだろうか?

いつでも楽しそうに笑っている一子を見て、秀馬は不思議だった。

ーーー失くし物をしても、笑顔でいられるんだな。こいつは。


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