続*時を止めるキスを —Love is...—


やがてその攻防にも疲れた頃、共有品は私の好きに選んでくれと言われたので、それには笑顔で了承する。

「どんな香りが好きですか?」

「甘ったるくなきゃ何でも良い」と、簡単に言うが割と難しい注文を出された。

しかし、私も私だ。
「そうですか」と言って、迷うことなくある商品を手に取ったのだから……。


「……もうすぐ無くなるけど、次は変えた方が良い?」

「慣れたからこれで良い」

口角を上げてそう笑っている。……よく言いますね、アナタも。

嘘は言わないし、気に入らなければ使わないとも分かっているので、多分お気に召したのだろう。と、勝手に思い込みますね。


——ということで、彼から漂ってくるこのほのかに甘くて爽やかな香りは、私が自宅でも愛用中のシャワージェルだ。

もちろん、洗顔やシャンプーは髪質や男女の肌質うんぬんの違いがあるので、それぞれ違うのけれど。


これは誤解していた私を安心させようという、寡黙なヒトの配慮だ。……たまには人間、都合よく考えても許されるはず。

そんな彼のTシャツをちょっと掴めば、ふぅと小さく息を吐いた彼の鼓動が心地よく聞こえてくる。


< 14 / 82 >

この作品をシェア

pagetop