続*時を止めるキスを —Love is...—
少し前を行く大きな背中に向けて、「ね、りゅー」と声を掛ける。
するとそこで立ち止まり、「なに」と言いながら振り返ってくれる彼を見上げ、どうしようもない私が笑う。
「あいしてるよ?」
酒に飲まれた女は自信を滾(たぎ)らせて疑問符を投げかけるが、その態度は図々しさのみ満点だ。
「知ってる」と、やけにあっさりした声で返されてしまう。
そもそもの話、この欲を駆り立てさせたのは目の前の男。ゆえに、どう誘ってみても敵わないと結論づいた。
でも、不思議と悔しさは感じたことがない。
ドS上司さんに、今夜も心を刺激されただけ。上手く消火出来ないのはもどかしいが。
但し、大好きな彼はそれもお見通しのよう。——不器用なのはよく分かってるよ、と。
——総じて、この不文律こそが私たちの恋愛スタンスなのかもしれない。
「ねえねえ、一緒に入ろっか」
「だったら、予め連絡して来い。こっちが連絡入れてもスルーしただろ?
先に入り損じゃねえか。ったく、しょうがねえ」
「いいのー。私が良い香り満喫出来たしぃ」
「その実、香りフェチのオヤジだ」
「えー、りゅーの香りフェチなのにぃ」
「なに飲んだんだよ、ほんと」
ぶつぶつと言いながら、夢の中に片足を突っ込み始めた私の膝に手を入れて抱き上げてくれる。