続*時を止めるキスを —Love is...—
でも、これは私とタカシが破局する寸前の、彼のひどい態度と同じ。……実は、忠実に再現してるんですけどね。
「なに食べる?」
さして気に留めないのか、それとも無神経だからなのか。メニュー表を広げた彼は、そちらに目を向けて聞いてくる。
「大変お待たせいたしましたぁ〜!」
そこへ明るい女性店員さんの声とともに、私が先にオーダーしていた抹茶アイスクリームが置かれる。
「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」
女性店員さんの視線はタカシへと向けられ、顔を上げていた彼は店員さんに口を開く。
「マルゲリーピザとグラスワインの赤をひとつで」
「かしこまりました」と頭を下げた店員さんは、そこで足早に去って行った。
賑わう店内の様子をぼんやり眺めていた私が正面に視線を戻すと、ニコニコ笑っている男と目が合ってますます気分が悪くなる。
「溶けるから先に食べさせてもらうわ」
「飯そんだけ?」
どこまでも能天気なツッコミに無言で頷きながら、アイス用のスプーンを手に持った私。
大人としてはとても態度や礼儀が良いとはいえないけど、こんな対応をされて不快にならない彼のスルースキルはすごいと感心したくなった。