続*時を止めるキスを —Love is...—
しかし、そんなことで手を緩めない彼女は、柚さんと同じワインをひと口飲んでこう告げた。
「靴と時計と仕立てのスーツで結構分かっちゃうんだよねぇ。
ほら、女って案外そういうとこチェックしてるじゃない?
あ、あとチーフが社内で女漁りした経歴もないから、その点は安心してて良いよ?
そもそもあんなに固い男性が部下に手を出す時点で、相当の覚悟……ま、本気ってことだしねぇ」
私は目をパチパチと瞬きしながら、その華麗な推理ショーをどうにか聞き終えた。
ともあれ龍の秘密は、本人の許可なしには言えない。もしかすると、彼女は薄ら感づいてるかもしれないけど。
ちなみに受付嬢は常日頃から様々な人に接している分、目が養われるそうだ。
あれ?その法則に則ると、私だって一介の秘書なのにおかしい。一体どういうことですか。
これについては、彼女の審美眼が物を言うのだろう。多分、相当な社内のゴシップや内部情報を握っているに違いない。
「あー、瀧野の執着心はもう諦めたほうがいいよ〜。藍凪ちゃんの囲い込みよう、半端ないし。
あんなめんどーな男、相手出来るってほんとすごいよねぇ」
そこへ酔っ払い女王と化した饒舌な柚さんが、グラス片手にずいっと割り入ってきた。