君だけに、そっとI love you.
シンと静まり返った家。
掬恵と掬恵の母親の二人きり。
掬恵の母親が念の為に玄関の鍵がきちんと閉まっているか慌てて確認をし、小走りでまた掬恵の元に戻ってくる。
「さあっ、掬恵……。下ばっかり向いていないで、お母さんの顔をしっかりと見て」
「……・うん」
「ほらっ、もっと、ちゃんと顔を上げなさい!」
「お母さん、絶対にビックリしないでね……」
「何があったって少々のことではビックリしないわよ。だって、あなたのお母さんよ!掬恵のお母さんを何年やっていると思っているの?」
とは言ったものの、内心ドキドキハラハラしている掬恵の母親。
掬恵がそっと眼鏡を外して机の上に置き、ゆっくりと顔を上げる。