君だけに、そっとI love you.
掬恵は簾のように長い前髪を手でかき上げて、恐る恐る母親の顔を見た。
何があっても驚かないと言い切っていた掬恵の母親、しかしあらわになった掬恵のおでこの辺りを見て驚かずにはいられなかった。
一瞬では直ぐに数え切れないほどの無数のニキビ……、それに鼻の付け根に出来物が2つ。
口元に手を当て、思わず息を飲む。
しばらく、言葉を失い、娘にかける言葉を探すが、見つからない掬恵の母親。
「き、………掬恵。どうしたの、その顔は──」
憔悴の表情を浮かべる掬恵がポツリと「お母さんのウソつき──・」と言った。
「ごめん……。お母さん、絶対に驚かないっていったのにね……」
「……うん」
「そういうことだったの。お母さん、ちょっと、違うことを想像していて……」
まさか、自分の娘が未成年で妊娠をしたのではないだろうかと疑っていたなんて口が裂けても言えない掬恵の母親。