少しずつ、見えるミライ
そんなこんなで、彼の初出勤日がやって来た。



「おはようございます。今日から、よろしくお願いします。」



接客業に就く人間としては、100点満点の笑顔。

本当に何なんだろう、このキラキラ感。

気を抜いたら、見惚れてしまいそう.......



って、何、言ってんだか。

そう思うから、余計にドキドキするんじゃん。

初日からそんなんで、これからどうするよ。



私は今日、遅番の由貴ちゃんが出勤して来るまで、この子と二人きりで過ごさなくちゃいけない。

平常心、平常心。

ひとまず気を取り直し、タイムカードの説明をしていると、早速、沙苗ちゃんが彼を見つけて近寄って来た。



「わぁ、かっわいい~! すっごい似合う。」

「ホントですか? ありがとうございます。」



そうよね、沙苗ちゃん。

わかるよ、わかる。

何なら私もさっきからそう思ってたし、褒められて照れ笑いする姿がまた一段とカワイイとか、さらに思ったよ。



思ったけどさ.......

言ったら無駄に意識しちゃいそうで嫌だから、敢えて言わないでいたのに。
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