少しずつ、見えるミライ
だって、似合いすぎるんだもん。

生菓子を販売するようになって、ケーキ屋さん風に変わったうちの制服が。

頭をすっぽり覆う大き目のコロンとしたベレー帽も、真っ白なコックコートも、ロイヤルブルーのカフェエプロンも。

まるで、彼のために揃えたかのように。



「あっ、ねぇ、新しいバイト君?」

「うん。」

「ちょっとぉ、カワイイじゃん! もう、内田さんも隅におけないなぁ。」

「そ、そんなんじゃないから。」

「またまたぁ。いいなぁ。うちもバイト募集しようかなぁ。」

「募集しなくても、全然足りてるでしょう。」

「あはは.....嘘、嘘。」



見慣れないキラキラ男子を連れて、肉食女子の中を歩けば、当然、目を引く。

バックヤードから店舗スペースに移動する間にも、店長仲間から、次々、声をかけられる。



でも、ちょっと待って!

この反応は、もしかして私がペットを見つけたと思われている.......?



多分、そうだろうなぁ。

いや、絶対、そうだろうなぁ。

だけど、それってどうなの?

......何か、恥ずかしいんですけど。
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