少しずつ、見えるミライ
人に相談する時って、相談する前から、実はすでに自分の中で答えが出ていることが多いような気がする。

アドバイスをもらったからと言って、そう簡単に結論が変わることはない。

なのに、相談するのは、話を聞いて共感してほしいから。

共感してもらうことでホっとして、踏み出す勇気をもらいたいからなんだと思う。



だから、リリアさんには感謝したい。

リリアさんには、仕事のことでも、恋愛のことでも、いつも背中を押してもらっている。

こんなお姉ちゃんが本当にいたら、どれだけ心強いだろう。



「しっかりしろ、朝陽!! 彼女を手放したくないんでしょ?」

「あっ、はい。」



リリアさんは両手で俺の頬を包んで、パンパンと軽く叩いてみせた。

そして、驚く俺の目をじ~っと見てから、ニッコリ笑った。

心の準備もないのに、いきなりそんなことされたら、こっちまで自然と笑顔になってしまう。



「きっと、大丈夫だよ。頑張れ。」

「はい。」

「だって、彼女もそう言ってくれてるんでしょ?」

「まぁ、そうです。」

「じゃあ、何にも心配することないじゃん。そう言ってくれてるんだから、信じてあげなきゃ、彼女がかわいそうだよ。」

「そうですよね。」
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