少しずつ、見えるミライ
自分を落ち着かせるために、携帯を握りしめて、一人でベットに入った。

怖くて震えながら、このまま眠っちゃえばいいと思った。

だけど、どうしても寝付けなくて、不安だけが大きくなって行った。

嫌な予感が当たりませんようにって、何度も何度も祈った。



そうしているうちに、精神的にも、体力的にも、限界を迎えてしまったらしい。

いつの間にか私は眠っていて、泣くのをこらえていたはずが、目覚めれば、枕に涙の後が付いている。



ウトウトしながら辺りを見回せば、もう明るい。

ふと見上げると、修ちゃんのスーツがかかっている。

良かった、帰って来たんだ.......

そう思ったけど、なぜか怖くて、足がすくむ。

こんな時間に帰って来るのは、どう考えても普通じゃない。



シャワーの音が聞こえる。

修ちゃんは、バスルームにいるんだ。

とりあえず、勇気を出して、「おかえり」って言おう。

何もなければ、それでいいんだから.......



ゆっくりとバスルームに向かって歩いて行くと、上半身は裸のまま、修ちゃんが出て来た。

見慣れた姿のはずなのに、変な風にドキッとする。

悪い方に考えるから、妙に生々しさを感じる。

違和感を覚え、思わず俯いてしまった私を、修ちゃんが優しく抱きしめる。
< 175 / 216 >

この作品をシェア

pagetop