少しずつ、見えるミライ
わかっているのに、それでも朝陽がいい。

私は修ちゃんじゃなく、朝陽を選ぼうとしている。

だから、その気持ちに、もっと自信を持ちたい。

何があっても、朝陽のそばにいたいという覚悟に。



そう思ったら、母の顔が浮かんだ。

しっかり者の母が、あんなダメ夫をいつも庇っていたのは、どうしてなんだろう。

子供の頃の私は、そんなこと、知りたくもないと思っていた。

だけど、そこに、私の迷いに対するヒントがあるような気がして、今になってそれが知りたくなった。



「ねぇ、お母さんは、どうしてお父さんを見捨てなかったの?」

「あら、面白いこと、聞くのね。」

「だって、さっさと離婚すればいいのにって、子供の頃から、ずっと思ってたから。」

「あははは.....なるほど。そうよね。捨てられてもおかしくはないわね。」

「うん。なんで?」

「そうね、やっぱり好きだからかな。」

「それだけ? あんなひどいことされても、好きでいられる?」

「うん、もちろん。お母さんが好きって思うのと同じくらい、いや、もっとかな? お父さんもお母さんのこと、好きでいてくれるから、二人で一緒に頑張ろうって思えたのかな。」

「ふ~ん。」



って、あれ?

このセリフ、どっかで聞いたような.......

あっ、朝陽だ!!

確か、同じようなこと言ってたよね。



「商売がクルクル変わっちゃったのは、子供たちに申し訳なかったって思ってるよ。でもね、お母さん、お父さんの夢、叶えてあげたかったのよ。」

「え? 何なの、それ? 初耳だよ。」

「そう? 知らなかった?」

「うん。」
< 199 / 216 >

この作品をシェア

pagetop