タマシイノカケラ
黒く不透明な思考を払拭しようと、窓を開ける。
わずかな冷気を帯びた、でもまだ夏色の強い風が吹き抜ける。
風に乗り、遠くから祭り囃子が流れてきた。
微かに、だけど壮大な音色。
「あっ」
と、大きくナオヤが叫んだ。
「今日祭りだったんだよな、確か」
驚きの余り、言葉になっていない。
突っ込もうかと思ったが、それより早くナオヤが、
「カナ、知ってて海まで行こうったの?」
少し興奮した様に、子供の様な素振りで私の袖を引く。
全然、知らなかった。
私はただ、海が見たかっただけで。
祭りの事など気にする余裕もないぐらい、ナオヤの事を気にしていたから。
「祭りってよく夏真っ盛りって時にやるじゃんか?でもここら辺は夏を名残惜しむって意味で、今の時期にやるんだってさ」
「へー、詳しいね」
「俺でも解るぐらい、有名なんだよ」
暗くても解る。得意気に話す、ナオヤの表情。
わずかな冷気を帯びた、でもまだ夏色の強い風が吹き抜ける。
風に乗り、遠くから祭り囃子が流れてきた。
微かに、だけど壮大な音色。
「あっ」
と、大きくナオヤが叫んだ。
「今日祭りだったんだよな、確か」
驚きの余り、言葉になっていない。
突っ込もうかと思ったが、それより早くナオヤが、
「カナ、知ってて海まで行こうったの?」
少し興奮した様に、子供の様な素振りで私の袖を引く。
全然、知らなかった。
私はただ、海が見たかっただけで。
祭りの事など気にする余裕もないぐらい、ナオヤの事を気にしていたから。
「祭りってよく夏真っ盛りって時にやるじゃんか?でもここら辺は夏を名残惜しむって意味で、今の時期にやるんだってさ」
「へー、詳しいね」
「俺でも解るぐらい、有名なんだよ」
暗くても解る。得意気に話す、ナオヤの表情。