むとうさん
一週間で一番今が賑やかな時間だろう。

福富町周辺は仕事帰りの人々が行き交う。

今日もあのバーはやってるかな。
柏木さんは観葉植物に水をやったり、レコードを変えたりしてニコニコしながら美味しいお酒をつくってるのかな。

この前はあんなに打ち解けたけど、やっぱりまだ緊張する。

地下へと続く入り口でちゃんと立て看板が迎えてくれた。

22:30。二軒目でくるお客さんがいるかもしれない時間帯だ。

コツコツと音を立てながら階段を下る。

男性の笑い声が少し聞こえた。

「こんばんは。」

4,50代の男性と30歳くらいの綺麗な女性のお客さんと談笑しながら柏木さんは迎えてくれた。

カウンターはお客さんの組の間一つ空いてるくらいだった。

私は隙間に入ろうと奥へと向かった。
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