むとうさん
ていうかむとうさんって奥さんいるのかな?ヤクザって不特定多数の女性がいるイメージだけど。なんとなくむとうさんには彼女がいない気がする。彼女がいたら私と食事もしないと思う。
むとうさんは私の知ってる男性の誰よりも、信頼できる気がするのだ。
できないことはしない。できることだけする。だから余計なことも話さない。できない約束はしない。そういう物事に対する態度が誠実に感じる。
ヤクザと仲良くしてるなんていったら私の周りの人間は反対するんだろう。
でも、私の中ではこの人なら大丈夫だって思えるんだ。
***
「むとうさんって奥さんとか、いるんですか?」
柏木さんは後ろで熱帯魚に餌をやっている。
「いないけど…」
むとうさんは怪訝そうな顔で私をじっと見た。怒ってるのか、見透かされているのか。隠し事をして、先生に追求された小学生のように、少し縮み上がる。
「いや、あの、私の付き合ってた人が奥さんいたんですよー。もーびっくりですよね。あ、むとうさんと知り合う前に別れた人なんですけどね?」
ドキッとして咄嗟に出たのがこの話題だった。
むとうさんは食いつくわけでも、機嫌悪そうにするわけでもなく、ただ私をもののように見つめている。
むとうさんは私の知ってる男性の誰よりも、信頼できる気がするのだ。
できないことはしない。できることだけする。だから余計なことも話さない。できない約束はしない。そういう物事に対する態度が誠実に感じる。
ヤクザと仲良くしてるなんていったら私の周りの人間は反対するんだろう。
でも、私の中ではこの人なら大丈夫だって思えるんだ。
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「むとうさんって奥さんとか、いるんですか?」
柏木さんは後ろで熱帯魚に餌をやっている。
「いないけど…」
むとうさんは怪訝そうな顔で私をじっと見た。怒ってるのか、見透かされているのか。隠し事をして、先生に追求された小学生のように、少し縮み上がる。
「いや、あの、私の付き合ってた人が奥さんいたんですよー。もーびっくりですよね。あ、むとうさんと知り合う前に別れた人なんですけどね?」
ドキッとして咄嗟に出たのがこの話題だった。
むとうさんは食いつくわけでも、機嫌悪そうにするわけでもなく、ただ私をもののように見つめている。