最も危険な  ルームシェア
「まゆ。」

真司さんに呼ばれた。

「はい。」

「突っ立ってないで座ったら?」

私は彼のそばに行きたくなかった。

滝野さんのことが気になって今夜は眠れないかもしれない。

そう思った。

「おやすみなさい。」

小さくつぶやいて私も自分の部屋へ入った。

その場にしばらく立ったまま高ぶった胸を静めた。

さっき滝野さんの指に触れられた唇は

まるでキスされたような感覚のままで

それは真司さんのちょっと強引なキスの後だったとは言え

今とても敏感になっていて

私は滝野さんのことが頭から離れなかった。

滝野さんは私に何をしたんだろう。

何を言いたかったんだろう。

と思い悩むことになった。

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