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私は紹介状を手にある家を訪ねた。

津田家は滝野家と縁があると聞いていた。

応接間で奥さまに会い

私は仰天した。

滝野家の奥さまにそっくりな女性を目にして声が出なかった。

「華さん。初めまして。」

気を取り直し私は丁重に挨拶をした。

「私は姉です。沙夜とは双子です。」

「驚いてしまい申し訳ありません。」

「妹が失礼を承知でお願いしたことを私からもお詫びします。」

「いいえ。私なりに考えていたしたことですので。」

「体調はいかがですか?」

「しばらく休養しましたので大丈夫です。」

「亡くなった妹とはなかなか会う機会を持てず後悔しています。華さんに話し相手をしてもらい沙夜が嬉しかった様子がメールでわかりました。感謝しています。」

奥さまは柔らかい口調で話された。

私は奥さまの次の言葉に茫然とした。

「私は不妊治療をしています。結果はいつも思わしくなく虚しいばかりです。」

そして私は身構えた。

「初日に言うべきではないと承知してますが、華さんならわかってもらえるはずだと思ってお話します。」

「はい。」

「津田家でも代理母のお願いを考えていただけませんか?もちろん体外受精です。」

私は即答できなかった。

滝野家の奥さまを思い出した。

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