even if
『大ニュース!ななちゃん先生、大ニュース!』

翌朝、朝の職員会議を終えて、保健室に入ろうとしたら、綾部さんが私を見つけて駆け寄ってきた。
笹野さんもいる。
今日は顔色もいい。

『ななちゃん!!ニュース!』

『おはよう。どうしたの?』

綾部さんは、鼻の頭にうっすら汗をかいて大興奮だ。

『ちょっと、まじでやばい!やばいやばい!!』

『え?なにが?』

『渋谷先輩!髪切ってたぁ!!まじやばい!!超かっこいい!!』

『えっ?そうなの?』

本当に昨日切ったんだ。
意外と素直。

『本当、まじやばい!』

『ちょっと落ち着こう?さっきから、やばい言い過ぎ』

まったくもう。
最近の子はなんでも『やばい』って言うんだから。

『ほら、授業始まるよ。笹野さん、綾部さん連れていって』

手を合わせて、お願い、と言うと、笹野さんは『はーい』と明るく笑って、『ヤバイヤバイ』と連呼する綾部さんを引っ張って行ってくれた。

保健室に入ると、少しワクワクする。
どんな髪型になったんだろう。
そして、それはどれほど『やばい』んだろう。
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