近距離ロマンス
「松本は意地悪だよ。あたしもムキになっちゃって馬鹿みたい!」
「よくわかんないけど、だいじょうぶ?」
「ぜんぜん平気っ。八つ当たりだもん。てゆか早く昂汰んとこ行こ」
「はぁ…?」
「あっ、昂汰っ」
由宇ちゃんはずいぶん先にいる昂汰くんに手を振って、走って近づいた。
人ごみをくぐって先の先。
嫌がっていたけど、ちゃんと練習しているようだ。
由宇ちゃんと昂汰くんとの距離があまりにも遠い。
やきもきして、あたしも走ってしまおうかと思ったとき。