【完】復讐の元姫
「……うん。ありがと」
ふふ、と。
小さく笑えば、彼は涙を拭った。
しばらく離れそうにないから、そっと宥めるように頭を撫でてあげていたら。
──ガラッ
「あ」
「ねぇ、シオ。
なんでこの部屋使えるのかな?」
「え、それ……は」
「この部屋の鍵持ってんの、俺なんだけど?」
ごめんなさい、と咄嗟に謝る。
沙和ははぁ、とため息をついて。
なぜか空き教室の黒板に近づいたかと思うと。
「別に良いけどさ」
黒板の下に手を伸ばし、微妙に見えない場所に触れたかと思うと。
「今度からは許可なく使わないでね」
次の沙和の手には黒くて小さな何かがあって。
彼は、それを両手でポキッとへし折った。