【完】復讐の元姫
ごめんね、と。
か細い声が、向こうから聞こえたかと思えば。
『私……、婚約するの』
「は?」
『ハルトと、婚約するから。
あのとき、言ってたでしょ?
受ける気はなかったんだけど、受けなきゃいけないことになって』
なんだよ、それ。
──せっかく。
「……もう、俺のことはどうでもいいのかよ」
手元に、お前が帰ってきたのに。
『そうだったら、幸せになれるね私』
「、」
『麗が好きだから、辛いけど。
でも、奈々も同じこと感じてるから』
そっちは奈々に任せてあるよ、と汐乃は言うけど。
そんなの、納得出来るわけがない。
……俺は。