しろっぷ
 ゆかりはレモンティーと書かれてたところを指して注文した。
「・・・かしこまりました」
 今日もオーナーは小さい声でボソっと答えたのであった。
 それからほんの数分ほどで二人の注文した物が来て、オーナーはシルバー製品を磨き始めた。
「どうですか貴人さん?」
「ああ・・・」
「このお店。貴人さんに連れて行ってもらったところとは違いますが」
「ああ・・・」
 貴人はどうもあのオーナーが気になるらしく、ゆかりの話など聞いていない様子。

 もうー、何なのよこの人は?
 私よりあんな変人に興味あるわけ?・・・・・アレ?何か彼女ぽい考えしてない私?

 などと考えていると貴人はどうもこのオーナーのことが気になるようで、すーっと手を挙げた。
「すみません」
「・・・はい」
「ちょっと尋ねますが、3年前まで指揮者などのお仕事は?」
「ちょっと貴人さん」
 さすがにそれはないとゆかりは貴人の行為を止めようとした。
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