しろっぷ
 あ、アレがそのお店です。
 ゆかりが指を差すその先行きに『美里本舗』があり、店の明かりがボンヤリと光っている。
 それを確認した貴人は店近くの100円パーキングに車を駐車し、ゆかりは『美里本舗』の扉を開けたのであった。
 カランコロンカラン。
 店は相変わらずクラシックが流れ、オーナーは今日も絶好調。
 二人が入ってきたことも気づかないほど指揮に夢中で、貴人は扉をゆっくり閉めた。
「とりあえず座りましょうか?」
「・・・・・」
「貴人さん?聞いてます?」
「あ、ああ」
 二人は空いている席に座り、オーナーの指揮が終わるまでメニューを見てながら待った。
 それから2分くらいして曲が終わり、満足していたオーナーはゆかりたちに気づくと、今日も特段慌てる様子もないまま二人の元へ。
「・・・いらっしゃいませ」
「オレ、ブルーマウンテン」
「私は・・・これをお願いします」
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