しろっぷ
 立ち上がって帰ろうとしたゆかりだったが、武彦が着ていたスーツのパンツを掴んで離さない。
「ちょっと武彦さん?離してくれない?」
 ゆかりの考えで解放されるはずだったため、それが叶わないことにイライラしている。
「待ってください。約束を果たしてください」
「約束?そんなのしてないよ?」
「どっちでもいいんで、お願いします」
「よくわからないけど私からもお願い〜」
 本当によくわかっていない真紀は、呑気にゆかりが買ってきたスポーツドリンクを取り出して一口。

 なんだこのワガママカップルは?
 真紀のアレが武彦にも移ったのか?こっちは早く帰りたいのに。

 が、武彦はどう見ても離す気などなく、真紀に何とかしてもらえるなどありえなかった。
「わかった。行きます」
「ありがとうございます」
 武彦は軽く頭を下げ、ゆかりを杖代わりに立ち上がった。
「真紀ちゃ・・・いや真紀、行こう」
「はい武彦さん」
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