しろっぷ
「左様ですか!」
「ああ。ゆかりが来る15分20秒前にな」
「すみません。ちょ、ちょっと朝バタバタしていたもので」
「ああそうか?まあいい、続きを始め・・・あっ、そうだもう一つ用があった」
「もう一つ?」
「ちょっとこっちに来てこの書類を見てくれ」
「は、はい」
 ゆかりは貴人の横に立ち、貴人が指さした書類に目を通す。
 チュッ。
 不意に貴人はゆかりの唇を奪い、急な貴人の行動にゆかりは何もすることが出来なかった。
「しゃ、社長!!?」
「社長ではなく『貴人』だろう?何度も社長と言った罰さ!」
「で、でも、今は会社で、ですし!?」
「冗談だよ冗談。引越しを手伝えなかったからな、そのお詫びだ」
「もう〜」
「おっ!可愛いからもう一回」
 優しい口づけを味わうためか、無意識にゆかりは思わず目をつぶった。
 チュッ。
 互いにその口づけを噛みしめ、ようやく仕事を再開したのであった。
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