しろっぷ
 そう言って電話を切ったのは、『ブルー・ローズ』等で会った恭子であった。
 しかし、ここにいる恭子はあの時会った恭子とは別人と言わんばかりに穏やかそうだった。
「これはこれは近藤社長。・・・あっ、ゆかりさんもお久しぶりね」
「こ、こんにちは」
「まあまあ、二人ともお席にお掛けになって」
 恭子の優しい声かけに逆に恐怖を覚えたゆかりと貴人。
 下手に逆らわない方がいいと判断した二人は、自然と互いにアイコンタクトで合図し、恭子に案内されたソファーに座った。
「早速ですが近藤社長、先日送った件、ご了承頂けそうかしら?」
「は、はい。も、もちろんです」
「それはよかった。それなら細かい詳細をお伝えしますわ」
 それからゆかりと貴人は何かあるのではと思い警戒をするのだが、もちろん特段何か変なことが起きる様子などない。
 プルルル、プルルル。
 この部屋に備え付けられた電話が鳴り出した。
< 271 / 306 >

この作品をシェア

pagetop