しろっぷ
「ちょっとよろしいかしら?」
 一言断った恭子は備え付けられた電話機の子機を取り、一度席を外したのであった。
 ふぅー。
 ゆかりと貴人は同時に息を吐き、すでに疲労困ぱい。

 周りに隠しカメラらしきものは・・・ないようね。
 じゃあ何だ?悪いものでも食べたとかいうアレか?

 そう疑いたくなるほど恭子に性格の変化にもゆかりを始め、貴人もついていけずにいた。
「・・・橘様」
 秘書の中田がゆかりに近づきながら呼んだ。
「何でしょうか?」
「本当にありがとうございます」
「はい?」
「橘様のおかげで我が社の売り上げが前年比の4倍を超えまして」
「はあ・・・」
「ゆかり、何かしたのか?」
 不思議そうな顔でゆかりを見た貴人。
「・・・・・」
 貴人以上に不思議そうな顔をしているのはゆかりの方。
 まさか旦那の文彦が戻って来たからという理由だとは思いもよらなかった。
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