しろっぷ
 私の今着ているスーツの方が高いじゃん。まあ、普段の私の服よりはアレだけど。

 そう思っていたが、この恭子と面倒ごとを起こしたくなかったゆかりは、素直に謝罪。
「分かればいいざます」
 恭子はさっさとトイレに入り、事なきを得たゆかりはその場から離れた。


 お手洗いを抜けた先には、この店本来の静かで品のある空間が広がり、それに溶け込んだ人たちが静かに楽しんでいた。
 ゆかりはその空間にいる貴人の元に戻り、ようやく落ち着いてディナーを楽しもうと席に着く。
「ゆかり、もう一回乾杯しよう」
「は、はい」
 二人のムードはどうにか建て直したようで、ワイングラスを上げて乾杯。
 テーブルにあったオードブルを一口食べ、その美味しさに心穏やかになった。
 が、そのムードもあの恭子がまるで妨害するかのようにゆかりたちの元へやって来た。
「ちょっとアンタ!!さっき私とぶつかった時に盗んだでしょう!!」
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