歩道橋で会おうね。






「変なこと?」

「人には優しくしなさいって」



あの度々家に来ていたオジサンが、母さんの父親?

つまり僕のお祖父さん?

何故母さんは今までそれを…。


もしかして、僕を堕ろすことを許さなかった父親を、母さんは今だ憎んでいるのか?




「それをハルキは真に受けて、誰にでも優しくします。
お蔭で友達も多く、成績は良いんですが…」

「何故彼の名字は銀なんだ?」

「元々はワタシの名字にしようとしたんです。
でも、当時ワタシと付き合っていて、ハルキを身ごもったのと同時にワタシとハルキを捨てたフミヤさんのことが忘れられなくて…」

「銀史也は、ハルキくんを嫌ったんだね」

「元々子ども嫌いで。
その上見知らぬ男との子どもを育てようとする人ではなかったので…」

「それで君は銀史也の名字を、彼につけたんだね。
…結末を言うと、ハルキくんはいらない存在だ、そうだね?」

「ええ。
ハルキさえいなければ、ワタシはフミヤさんとっ…」

「俺と愛のない結婚をすることもなかった、か。
ああ良い、素直に銀史也と結婚したかったと言ってもらって構わない。
俺だって、妻と羽菜、3人でいつまでも暮らしたかったさ」

「ハルキさえ…ハルキさえいなければ!」



母さんは涙ながらに語った。




僕がいたから、母さんは好きな人と別れたの…?

僕のせい?

僕が生まれたから?

お祖父さんが僕を堕ろすなと言ったから?




全テ全テ、

僕ノセイッ……!?







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