鳥籠の底は朱い道
まさかクロは、オレに答えを探させるためにこんなことをしたのか？
そんなことを猫であるクロがしたとは思えないのが普通。だが朱道の場合は違う。クロが自分に生きるということの原点である望みを教えてくれた。
だから決まったばかりでも考える。
オレはこの力を使ってどうするか。
それはまだ決まっていない。けどこの力は明らかに他の誰よりも強い。ならいっそ、この力がどれだけ強いのか試してみるか。
そしてこの力で殺しをするのは力を持つもの。力であればなんでもいい暴力、筋力、支配力や拘束力なんでもいい。

あぁそうだな。オレの望みはこの力が最強であることを証明すること。

現段階でオレが知る限り、この世界で最強なのは前回の死神との戦いで生き残った朱雀、オレに力を与えたその存在こそ目指すものだろう。

だから目標は前朱雀を殺すこと。それがオレの最強を証明する。

オレは生きる目標を見つけた。
だからもう親父の言うことなど聞かない。
無意味な殺しなどしない。
今の段階で前朱雀に勝てないと考えるならば、またいくらでも人を殺そう。
だが、その前にここには力を持つものがいる。

オレを支配する絶対的な力、親という権力を持った奴が……。

そう思った朱道の足は自然に歩いている。けど一回だけ振り返りクロに笑顔で言う。
「オレの自由への第一歩だ。待っててくれクロ」
「にゃ」
その声を聞いて朱道は再度歩き出す。
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