記憶と。
「いや、だってさ。」
僕は返事に困った。
誘えば付いて来そうなのは解っていた。
しかし1年から部活をサボるというのはそれなりに面倒くさいことにもなる可能性もあった。
そんないろんな理由で、なんとなく誘えなかった。
「ふーん。まあいいけどね。で、もちろんお詫びに家まで送ってってくれるんでしょ?」
綾子は脅迫っぽい口調で言ってきた。
僕は断れるわけもなく、そのまま荷台に綾子を乗せて、自分の家より離れた綾子の家へ向かった。
「ねえ!」
後ろから綾子が叫んだ。
「何!?」
「今度はさ、そういうの、私もちゃんと誘ってよね!」
僕はゆっくりうなづいた。
綾子はクスっと笑い、僕の背中に抱きついてきた。
すごく、すごく、幸せな距離だった。
往復でかなりの距離を走って疲れた足のことも、
おそらくかなり辛いだろう道も、完全に忘れていた。
それくらい、幸せな時間だった。
綾子の家の目の前まで初めて来たのはその日だった。
「ここでいいよ。」
家の手前で綾子が言った。
「どうせだから玄関辺りまで送るよ」
「ううん。大丈夫。ちょっとね、うち、お父さんが五月蝿いからさ、こういうの。」
「そ、そうなんだ・・・。わかった。」
「うん。また明日。バイバイ。」
「ああ、うん。」
僕はゆっくり手を振った。
すぐ目の前だった綾子の家の前には、綾子のお母さんらしき人が、花壇らしきものをいじっていた。
すごく若く見えて、綺麗な人だった。
僕は、全力で自分の家へと自転車を漕いだ。
僕は返事に困った。
誘えば付いて来そうなのは解っていた。
しかし1年から部活をサボるというのはそれなりに面倒くさいことにもなる可能性もあった。
そんないろんな理由で、なんとなく誘えなかった。
「ふーん。まあいいけどね。で、もちろんお詫びに家まで送ってってくれるんでしょ?」
綾子は脅迫っぽい口調で言ってきた。
僕は断れるわけもなく、そのまま荷台に綾子を乗せて、自分の家より離れた綾子の家へ向かった。
「ねえ!」
後ろから綾子が叫んだ。
「何!?」
「今度はさ、そういうの、私もちゃんと誘ってよね!」
僕はゆっくりうなづいた。
綾子はクスっと笑い、僕の背中に抱きついてきた。
すごく、すごく、幸せな距離だった。
往復でかなりの距離を走って疲れた足のことも、
おそらくかなり辛いだろう道も、完全に忘れていた。
それくらい、幸せな時間だった。
綾子の家の目の前まで初めて来たのはその日だった。
「ここでいいよ。」
家の手前で綾子が言った。
「どうせだから玄関辺りまで送るよ」
「ううん。大丈夫。ちょっとね、うち、お父さんが五月蝿いからさ、こういうの。」
「そ、そうなんだ・・・。わかった。」
「うん。また明日。バイバイ。」
「ああ、うん。」
僕はゆっくり手を振った。
すぐ目の前だった綾子の家の前には、綾子のお母さんらしき人が、花壇らしきものをいじっていた。
すごく若く見えて、綺麗な人だった。
僕は、全力で自分の家へと自転車を漕いだ。