記憶と。
「ご、ごめん。でもさ・・・」
「博之にはわかんないんだよ!私の事気持ちなんかさ!家族が急にいなくなる辛さっていうのが!」
僕は、一番綾子との距離を感じていたところを指された気がした。
綾子に、初めて、特別じゃない、普通の名前で呼ばれた。
そして、何も言えなかった。
綾子はそのまま、走っていってしまった。
僕はショックや悔しさで、ただ、その走り去っていく後ろ姿を、見ていた。
次の日から、綾子とはずっと話せなくなった。
ずっと隣にいるのに、目を合わせることもできず、ずっと、僕は机を見ていた。
そんな日がしばらく続いたまま、1学期が終わり、夏休みになった。
僕はその夏休み、何をしていたかまったく思い出せない。
たぶんずっと、綾子のことを考えていたのかもしれない。
そして、夏休みも終わり、2学期が始まった。
最初のホームルームで、席替えのくじが行われた。
僕と綾子は、見事なまでに部屋の端と端になった。
それから体育祭、文化祭、2学期にはいろんな行事があった。
でも、一度も、綾子と何かをした行事はなかった。
2学期も終わりに近づき、ついに受験高校を決めるときがきた。
僕は、気まずい空気の中、綾子に話しかけた。
「綾子・・・。俺、高校決めたよ。一緒のところじゃなくて、工業の大学が付いてる高校にしようと思う。」
それは、僕にとって、自分から切り出した、別れ話だった。
別れ話といっても、もうほとんど、付き合っているといえる状態ではなかった。
でもそれでも、けじめとして、きっちりしとくべきだと思った。
綾子は、そっか。とだけ言った。
僕は、綾子から逃げるかの様に、綾子の高校とまったく反対方向の高校を選んだ。
そして、高校生活では、ほとんど会うこともなく、3年の月日がたち、忘れかけていた。
「博之にはわかんないんだよ!私の事気持ちなんかさ!家族が急にいなくなる辛さっていうのが!」
僕は、一番綾子との距離を感じていたところを指された気がした。
綾子に、初めて、特別じゃない、普通の名前で呼ばれた。
そして、何も言えなかった。
綾子はそのまま、走っていってしまった。
僕はショックや悔しさで、ただ、その走り去っていく後ろ姿を、見ていた。
次の日から、綾子とはずっと話せなくなった。
ずっと隣にいるのに、目を合わせることもできず、ずっと、僕は机を見ていた。
そんな日がしばらく続いたまま、1学期が終わり、夏休みになった。
僕はその夏休み、何をしていたかまったく思い出せない。
たぶんずっと、綾子のことを考えていたのかもしれない。
そして、夏休みも終わり、2学期が始まった。
最初のホームルームで、席替えのくじが行われた。
僕と綾子は、見事なまでに部屋の端と端になった。
それから体育祭、文化祭、2学期にはいろんな行事があった。
でも、一度も、綾子と何かをした行事はなかった。
2学期も終わりに近づき、ついに受験高校を決めるときがきた。
僕は、気まずい空気の中、綾子に話しかけた。
「綾子・・・。俺、高校決めたよ。一緒のところじゃなくて、工業の大学が付いてる高校にしようと思う。」
それは、僕にとって、自分から切り出した、別れ話だった。
別れ話といっても、もうほとんど、付き合っているといえる状態ではなかった。
でもそれでも、けじめとして、きっちりしとくべきだと思った。
綾子は、そっか。とだけ言った。
僕は、綾子から逃げるかの様に、綾子の高校とまったく反対方向の高校を選んだ。
そして、高校生活では、ほとんど会うこともなく、3年の月日がたち、忘れかけていた。