たった一人の甘々王子さま


「優樹。明日は病院だよ?今度は優樹が診てもらわなくちゃね」


どことなく笑顔になる浩司は良いが、優樹の頭を優しく撫でる。


「こ、浩司......」


「ん?なに?」


「食べ過ぎの、胃もたれの、吐き気......じゃないの?」


もしかしたらの答えが信じられないのか、優樹は思い当たる事を切り出した。


「え?そんなに何を食べたの。」


「生徒から貰ったおやつ、てんこ盛り......」


『マフィンにブラウニー、カボチャやニンジンののクッキーとか......』
指折り数えて思い出している優樹。
『相変わらず、学校でモテているのか?』
なんて、浩司のヤキモチセンサーが発動しそうだったが


「きっとそのせいじゃないと思うよ。思い当たる節はあるんだし、ここにいるかもよ?俺たちの赤ちゃん」


優樹のお腹を触りながら言う。
つまらないヤキモチ、いまなら余裕でかわせる。


「......本当に?」


まだ信じられないのは優樹。
自分のお腹に触れる浩司の手に自分の手を沿わせて、浩司を見上げた。


「だから、明日は病院に行こうって話してるの。よし、ここから近い病院を検索してみるよ」


優樹を立ち上がらせて、リビングまで移動する。
出すものを出したら少し落ち着いたのか優樹の吐き気も今はなくなったようだ。
まだ、ムカムカはするらしく表情は苦しそうなのだが。


「無理にご飯食べなくてもいいから、水分だけでも取れそう?」


頷く優樹をソファーに座らせて、浩司はキッチンに。
清涼飲料水を手にして、リビングに戻る。
浩司がキッチンに行っているその間に横たわった優樹はまた吐き気が。


「......ムリ、ダメ。いらない」


顔の前で手を振って、ソファーに顔を伏せる。
もし、本当だったら嬉しいことなのだが......優樹のこの姿はみたくない。
背中を擦りながら複雑な気持ちの浩司だった。



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