たった一人の甘々王子さま
家族が増えた日。
浩司side―――――
優樹の妊娠がわかった日。
その日は夜遅かったため、検診は次の日に行った。
選んだ病院は、マンションから車で20分位のところにある勤務医が常に三人はいるクリニック。
数年前に市民病院に勤務していた先生が独立して建てた小児科も併設している産婦人科。
総合病院も考えた。
そこは勤務先の学校には近いのだが、仕事を休職したときに通うとなるとマンションに近いクリニックの方が便利がよいと考えてここに決めた。
今日は検診日。
37週目で、お腹の子供は順調に経過しているそうだ。体育教師で体を動かしていたお陰か中毒症が心配されていたが今のところ症状はなし。
今は診察が終わって、会計も済み、足りないものの買い出しに少し足を伸ばして大型ショッピングセーターに着いたところ。
優樹は妊娠がわかっても悪阻がひどいはじめの頃だけ休みをもらったがすぐに仕事復帰。
『出来るだけ長く教師を続けたい!』
という優樹の気持ちを汲んで、学校側と相談して9ヶ月まで勤務させて貰った。
悪阻が落ち着き、安定期に入った頃は食べていないと余計に気持ちが悪くなったようで、体重増加に注意、指導されていた。
驚いたのはほかにもあって.........
「ねぇ、浩司はどの色にする?」
優樹がお出掛けようにもなる子供服を選んで手に取っている。
「性別が同じでも、見分けるためには同じデザインでも色違いにしないとね。二人とも浩司に似てイケメンに育ったら嬉しいなぁ~」
大きく膨らんできたお腹を擦りながら優樹は子供服とにらめっこ。
そう、優樹のお腹にいるのは男の子の双子なのだ。
「優樹の好きな色でいいよ。すぐに大きくなるだろうし、大きめのサイズも準備しておいた方がいいかもね。あ、もしかしたら......プレゼントされるから買わない方がいいか?」
「う~ん。そういわれると困るよね。美樹ちゃんからまた荷物届いてるから......帰ったら中身確認しないとね。相楽のお母さんからも荷物来たよね?.........やっぱりやめようかな、チビ達の買い物。」
優樹は手にしていたベビー服を元に戻してため息をひとつ。
まぁ、ため息が出るのもわからなくはないのだが.........
洋服はもちろんのこと、ベッドから玩具までお互いの両親は相談でもしているのか贈られる品物が同じになったことがない。
それぞれの両親はあれやこれやと買い物を楽しんでいるようだ。
俺の兄貴も結婚はしたのだが、子供はまだ女の子だけ。
その子の妊娠でわかったらしく、義姉さんは身体が......と、言うより心臓が弱いと。
出産という大仕事は心臓に負担がかかるからできれば控えるように医者に言われたらしい。
「「子供がいるだけで俺たちは幸せなんだよ。君に似て可愛い女の子が生まれてくれて俺は幸福者だよ。命を削って生んでくれてありがとう」」
と、兄貴が義姉さんに話していたのを今でも覚えている。
「「どうしても男の子が欲しければ、浩司に頼むか?」」
なんて、冗談なのか本気なのかわからない笑顔で言われたことも覚えてる。
だからなのか、双子の男児だとわかったら相楽家はとても大喜びだった。
義姉さんは、優樹に涙を流しながら何度もありがとうと言ってくれた。
俺は養子に出すつもりなんてないけどね。