たった一人の甘々王子さま


「ビックリした..........男の裸だ........」


優樹はリビングのソファーに倒れこんだ。
頬が火照った感じだ。まだ顔が赤いのだろう。


風呂上がりの浩司と鉢合わせて、慌てた優樹。


確かに、男の裸は見たことがある。
しかし、父親と俊樹だ。
家族はカウントされないだろう。


中、高の6年間、女子校で過ごした。
教師で男性がいたとしても、裸をみることなんてなかった。


バスケをしていれば自他校の男子とで会うこともある。
試合後は汗もかくし、上着を脱ぐ生徒もいた。


しかし、その時は男勝りの作り上げた優樹で対応していたから男の裸に驚くこともなかった。
逆に、筋肉のつき具合に目線がいっていた。やっぱり自分とは違う........と、卑屈になっていたものだ。


だけど今、
この家で生活するようになって、
浩司と過ごすようになって、
偽りの自分を作らなくても良いって言われて―――――


エミにもこの変化に気がついて、
知らない間に女の田所優樹になりつつある。


そのきっかけを作ったのが、浩司だ。


浩司の前では素の自分でいられる気がしてきた。


無理に男にならなくてもいい。
格好いい優樹にならなくてもいい。
一人で生きていけるくらい強くならなくてもいい。


弱い自分でもいい。
甘えてもいいって言ってくれた浩司。


まだまだ出逢って間もないのに、浩司の事を信頼してる?
受け入れてる?


今まで感じたことのない想いがこの胸に生まれてる。
ドキドキするこの気持ち。
これって何?



「おかしい。こんなの初めてだ。誰か教えてよ..........」

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