涙空*°。上
保健室
―凜said―

その日から、あたし達のお昼は、
屋上で龍樹達と食べることが日常になっていた。

この学校はお金が大層あるらしく、
中庭なんてものがある。
それでも飽き足らず、
オシャレな購買とベンチ、木陰など
広い中庭にはくつろぐ場所が沢山ある。

だから、あたし達みたいな物好きじゃなきゃ屋上なんて選ばない。

この前、
『なんで中庭じゃなくて屋上なの?』
という素朴な疑問を龍樹に投げかけたところ、

『中庭だとさぁ。女の子集まっちゃうから大変!』
と、ごもっともな答えが怜雄から帰ってきた。

モテるやつとは思考が違うらしい。
と、今日もあたしはメロンパンを噛じる。

目の前に座る龍樹をみて、
そういえば...
なんでいちごみるくなの?
好きなの?笑
って龍樹にちょー聞きたいんだけど、
どうやらあたしはチキンらしい。

後が怖いからやめておこう。おん。



あっという間に6月下旬。
季節はもう、夏直前だった。

今日も屋上で昼食nowです。
『次、体育じゃない?』

うっわ...まじかよっ...
サッカーだっけ?

『龍樹でるでしょー?』

龍樹と怜雄はたまに授業をフラフラサボる。
別に大した理由はな言って言ってたけど...なんなんだろ。

『サッカーは好きだからな。』
珍しく、龍樹が乗り気だ。







...の訳だ。
なんだあいつ、超うめぇ。
サッカー部よりうめぇ!!

『きゃぁ!龍樹かっこぃいー♡』
女の子たちは、もう大騒ぎ。

怜雄いわく、龍樹はスポーツ万能らしい。
...イケメンなだけじゃないとか、ずるいなあいつ!!


あたしと未遥は、ちょっと休憩しようってことになって、木陰に座った。

『もう、夏だね...』
未遥がポツリと呟いた。

言われてみれば、たしかに。
ちょっとそんな気がするな...





夏か。
夏はあんまり好きじゃないんだよなぁ。

嫌な思い出一色だから...



『っ!!危ねぇ!!』
『へ?』

聞きなれた声に、我にかえったが、時すでに遅し...って感じ。

あたしの顔面にサッカーボールくんが
めり込んでいらっしゃった。
大歓迎だ、この野郎。



...だから体育嫌いなんだ(涙)
そこからは、意識がぷつんとイった。
< 14 / 49 >

この作品をシェア

pagetop