涙空*°。上
屋上
―龍樹said―

俺は授業に行くのがだるくて、
凜を屋上に誘った。

『ふぁー!!やっぱ気持ちいいね、屋上♪』

屋上に来たくらいでテンションが上がるこいつはマジでガキだと思う。
俺が寝転がると、
『まだねるのー?』
なんて嫌味いいやがった。

『うっせぇ、ねみぃんだよ。』

俺は、あることを思い出した。
『なぁ、凜』
こいつに一番聞きたかったこと。


俺は凜の上に覆いかぶさって、押し倒した。
いつも、女を抱く前のように。

『っ!?ちょ、りゅう...』

『お前、俺の事好き?付き合いたいとか、ヤリたいとか思った?』

言ったことに、後悔はなかったけど
少し不安になった。

すると...
『馬鹿じゃないの』
凜は涙目になりながら俺を睨んだ。

『ちょっとモテるからって、みんながみんなあんたを好きなわけじゃないの!!』
凜は怒鳴った。
え、なんだこいつ...

『ほかの女と、一緒にしないで!!』
正直俺は今めちゃくちゃびっくりしてる。
こんなこと、俺に向かっていったのはこいつが初めてだ。

『つ...樹の馬鹿。』
ん...?
今、こいつ...?
俺の名前呼んだのか?

でも、凜が見てるのは俺じゃなくて、
俺の後ろにある、晴れわたった空だった。
その揺らぐ瞳が、ひどく悲しくみえて...


『あんたなんて大っきらい!!』
大声を張り上げた凜は
俺を突き飛ばした。
そして、そのまま走って行ってしまった。


『ッ!!おい、凜!!』

...なにやってんだよ、俺。
馬鹿じゃねぇの?
俺らしくねぇことしちゃって気持ちわりぃ。


なんか、モヤモヤする...はぁ。

久しぶりに、
抱く女をさがすべく
スマホを取り出した瞬間に、
電話が鳴った。


着信は、
俺の、大好きな«兄貴»からだった。
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