涙空*°。上
八神龍樹ってヤツ
―凜said―

『龍きぃ~それでねっ』
『龍樹今日暇?』
『ちょっとぉ、聞いてんの?』

う...なんだこれ...

まとわりつく女になんの興味も示さない八神龍樹。
かといって、巻き付くたくさんの手を振り解くわけでもない。

『あれが噂の八神龍樹くん!?』
『やば!!ちょーかっこいいじゃん!!』


...なんだここは!?
ホストか!?
あいつは怖モテホステスなのか!?

どんどん周りに人は集まるばかり。
よし、とりあえずあたしは教室に入ろ...

八神龍樹とは、やっぱり別世界だよね。
超人気だし。


『おっはぁー!!りぃーんっ♡』
ルックスに似合わない未遥のハイテンションが登場した。

『んね、で、イケメンどれ!あ、あそこの?凜もうみた!?』

『未遥...それがさ...』

...って!!
もう未遥いねぇし!!
話そうと思ったのによ...


夏樹を知っている未遥は、どう思うだろうか。
似てないよ、って未遥が言ってくれることを期待してたあたしの元に

すごい形相で未遥が帰ってきた。

『なに...あれ...夏樹...!?』

未遥には、夏樹の事でだいぶお世話になった。
だからたぶん、あたしの気持ちもわかってるんだと思った。

『違うよね...そんなわけないよね...?』

なんで、未遥がそんな泣きそうな顔するの...情けないな、あたし。

『ほら、世界には似てる人が三人いるって...たぶん、そうゆう類のものだよ!』

虚しすぎるあたしの作り笑い。

『凜...』

なんて言えばいいかわからないって感じの未遥の顔を見て、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

そんな時、チャイムが鳴って、みんな慌ただしく席についた。

あたしは急いで自分の席を探して座った。

そして、
あたしの隣に座ったのは...



< 6 / 49 >

この作品をシェア

pagetop