涙空*°。上

ー1年前の話。
中学2年生の頃。

あたしは、学校一のモテ男、
日向夏樹に告白されて、付き合うことになった。

あたしはどんどん夏樹にハマっていって、
毎日一緒に帰って、毎週デートをした。

未遥と陽も、ちょうどその頃から付き合い始めて、
あたしと未遥のように親友同士だった夏樹と陽とは、自然と一緒にいるようになった。

春はピクニック、夏は海にいったし、花火もやった。
お祭りにも沢山行った。
秋は映画に行った。
冬はクリスマスを一緒に過ごした。

夏樹は、龍樹に負けないくらい格好よくて、サラサラの黒髪に、長いまつ毛と大きな瞳。

スタイルもルックスも芸能人並みだった。

運動神経抜群で、バスケ部のエースだった。
頭もよくて、手先も器用で。

あたしからすれば、本当に完璧な人だった。

だから当然めちゃくちゃモテた。
ライバルは常にいたけど、
夏樹はいつもあたしだけを見てくれた。

幸せだった。
もの凄く。

大好きだった。
夏樹のこと。




春が過ぎ、中学3年生になった。
また、楽しい夏の季節がやってきた。
...はずだった。


でもそれは、
夏樹と過ごせた
最後の季節だった。








あの日。
河原で、いつものように放課後デートをしていたあたしと夏樹。




夏樹は、
お揃いのペアネックレスと
訳のわからない涙と
大好きだった笑顔と

あの言葉を残して...

あたしのまえからいなくなった。





次の日、担任から聞かされた。

『日向夏樹くんは、転校しました。』

当然、みんなあたし達に聞きまくってきた。

なんで?とか、
どうしたの?とか、なにかしらないの?って。


でも、
あたし達は...
あたしは、なにも答えられなかった。



確かに、前の日。

『また明日ね!!大好きっ』
って言ったあたしの言葉に。

また明日ね、じゃなくて




『またね。ばいばい。俺も大好き』

...そう、夏樹は言った。









ねぇ、夏樹。

今、どこでなにをしてる?
あたしはね、
いつかまた、夏樹があの笑顔であたしの元に帰ってくるって、


馬鹿な期待を、淡い願いを抱きながら

この憎いくらい綺麗な空を見上げて








泣いてるよ。
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