白い海を辿って。

もし、いつか私が誰かと結婚することがあれば。

私はその人の人生を守ることができるのだろうか。



『また作りに来てくれるか?』

「うん、もちろん。」


空気を変えるように明るく言った彼の声に我に返る。

私が好きなのはこの人で、これから一緒に歩いていく人もこの人だ。



「今度は家にも遊びに来てね。」

『え、いいの?』

「お母さん絶対張り切ってご飯作るよ。」

『あーいいなぁ、食べたい。お父さんと一緒にお酒も飲みたいし。』


そんな未来が、遠くはないうちにやってくるのだろう。

くしゃっと笑う笑顔が、大好きだと思った。



『狭くない?』

「うん。大丈夫。」


彼のベッドに2人で入ると、くすぐったいような照れくさいような気持ちで鼓動が速まる。

そっと、彼が私を引き寄せて包み込む。


寒い寒い冬の夜。

だけど不思議と嫌な感じはしなかった。


明日の朝起きたら、すぐ傍に彼がいる。

そのことが嬉しくて、幸せで、心強い。



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