白い海を辿って。

翌日は朝から彼女と遠出することになっていた。

そのために昨夜俺の家に泊まった彼女は、俺よりも先に起きていた。



『おはよう。』

「おはよう。」


既に着替えている彼女が、俺が昨日プレゼントしたエプロンを着けて微笑む。

似合うな。可愛いな。

そんなことを思いながら、再び閉じてしまいそうな瞼をこじ開ける。

だめだ、幸せすぎるぞこの光景。



「よく眠れた?」


二度寝してしまわないように起き出し、彼女を後ろからそっと抱きしめる。

髪からはやっぱり俺と同じ香りがして、あぁ一緒にいたんだなとまた幸せを感じる。



『うん、眠れたよ。』

「良かった。」


彼女が俺の腕に手を添えて、そのままあごを置く。

普段はほとんど甘えてこない彼女が、今は自ら手を握ってくる。



「どうかした?」

『ううん。なんか、ほっとして。』

「ほっと?」

『はるくんが普通に起きてきてくれて。』


何それと笑うと、彼女もなんだろうねと笑う。

腕を掴む力が、少し強くなった。



< 169 / 372 >

この作品をシェア

pagetop