白い海を辿って。
「どうして?私、何かした…?」
『明日実のせいじゃない。ただ…』
そう言ったきり、彼は言葉を探すように考え込む。
どうして、どうして、頭の中でそればかりが繰り返される。
一緒に暮らしたいって、伝えようと思っていたところだったのに。
『落ち着いて聞いてほしい。明日実の元彼が、俺に会いに来た。』
「…へ?」
驚きを通り越して、声にならない声が出た。
元彼…?
私にとってそう呼ばれる人はあの人しかいなくて、つまりはあの人が彼に会いに行ったということになる。
どうして、どうして、頭の中はやっぱりそればかりだ。
「なんで、はるくんのこと…」
『昨日、教習所の前に怪しい人がいるって…スタッフが見つけて。』
彼はその名前を出すことを少し躊躇ったけれど、昨日起こったことをありのままに話してくれた。
帰宅しようとした受付のスタッフさんが、教習所の前にいる怪しい人を見た。
警察に通報したが、警察が駆け付ける前にその人は彼に声をかけてきた。