毒舌紳士に攻略されて
カッと熱くなる顔。
本当に私ってばおかしい。おかしすぎる!

だって相手は坂井君だよ!?

既に車を走らせている坂井君の横顔が視界を捉えた瞬間、熱い顔がさらに熱くなる。

いやいやいや!
それだけはない!

例え坂井君が意外に優しくても、両親が素敵でも、可愛い一面もあったとしても。
私は坂井君を好きになるはずない。……ううん、好きになんてなっちゃダメなんだ。

なのに気持ちと身体は一致してくれない。
気持ちも身体も私のものなのに、言うことをきいてくれない。

手が離れてからだいぶ経つというのに、坂井君に触れられた頭が熱い……。


これは坂井君の本音を聞いてしまったから?
意外な一面を知ってしまったから?

理由を並べては否定したい自分と、否定したくない自分に葛藤する私を乗せて、坂井君は車を走らせていった。
< 125 / 387 >

この作品をシェア

pagetop