毒舌紳士に攻略されて
彼女を好きになった理由
『元気ー！みんなで新年会中！お前も早く合流するように』

『女子が急かしてくる。早く来い』

年が明けて二日目。
まだお昼前だというのに、高校時代の友人達から次々とメールがきていた。
どれも既読していくものの、返す気にはなれない。

高校時代の友人達との付き合いはずっと続いていて、特に三年生の時のクラスメイトとは年に二、三回はみんなで集まっている。そのうちの一回は皆が帰省するお正月に開催されていて、去年も二日にみんなで集まっていた。
気兼ねなく付き合えるし、毎回楽しみにしていて必ずと言っていいほど参加していたものの、今回ばかりはとてもじゃないが、参加する気分にはなれない。
だから前もって連絡しておいたのに、当日になってこれだ。

こうやって声を掛けてくれるのは嬉しいが、今だけはみんなと飲んで騒げるほどの明るさを兼ね揃えていない。
行っても誰とも話す気分になどなれそうにないし、酒なんて飲めたもんじゃない。

だから断ったのに。

舌打ちしながらも、次に開いてしまうのは保存されたままで送れないでいるメール文。

< 291 / 387 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop