毒舌紳士に攻略されて
なっ、なんて捻くれた発言なの!もはや毒舌云々の話ではない。

「ならそう受け取って下さってけっこうです!」

そっちがその気なら、こっちだってもう変に気を遣ったりするものか。
淡々と食べながら毒を吐いた坂井君に負けぬよう、食べ進めていく。

「ところでさ、佐藤って彼氏が欲しいわけ?」

「ぶっ……!」

さっきまでの会話など全く関係のない話題に、思わず口に含んでいたものを吐き出しそうになってしまった。
どうにか慌てて手で押さえ惨劇は免れたものの……。

横を見れば、汚いものでも見るかのような目で私を見つめている。
こうさせたのは坂井君なんですけど!

近くにあった紙ナプキンで口を拭いていると、なぜか横からビンビンと感じる視線。
その発信源はもちろん坂井君なわけで、なぜか私の様子を観察するかのような視線を送ってきている。

ついさっきまでは汚いものを見るかのように見ていたくせに、急になに?
もっ、もしかして顔になにか着いているとか?

その可能性も十分あり得る。
手にしていた紙ナプキンで顔中を拭いていると、彼の口からとんでもない言葉が飛び出してきた。

「なぁ、そんなに彼氏が欲しいならさ、俺なんかどう?」
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