毒舌紳士に攻略されて
「大丈夫に決まってるだろ?終わったら迎えに行くから」

「うっ、うん……」

あぁ、だめだな私。
こういったちょっとしたことでドキドキさせられてしまう。

「じゃあ先に戻るから。またな」

最後にもう一度、私の頭を撫でると坂井君はいつの間にか食べ終えたのか、空になったトレーを持って行ってしまった。
琴美が目の前にいるというのに、つい余韻に浸るように坂井君の後ろ姿を見つめてしまう。

付き合い始めてからというもの、坂井君はとにかく私に優しい。……いや、優しいというか甘い。
紳士的なところはますますパワーアップしているし、毒なんて全然吐かない。

嬉しいを通り越して怖いくらいだ。幸せすぎて怖いとさえ思えてしまう。

「わぁー。なに?あの坂井の甘々っぷりは。見ているこっちが恥ずかしいんだけど」

さすがの琴美もあの坂井君には驚きを隠せないようだ。

「めぐみってば溺愛されているじゃない」

「……そう、なのかな?」

照れ隠しながらもそう答えると、琴美は「そうに決まっている」とすかさず突っ込んできた。
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