毒舌紳士に攻略されて
すぐに唇は話され、至近距離で見つめられる。

あぁ、どうせまた「マヌケ面」とか言ってからかわれるんだろうな。
そう覚悟していたものの、坂井君は少しだけハニカミ、コツンと自分の額を私の額に押し付けてきた。
先ほどよりも距離は縮まり、逆に縮まり過ぎて坂井君の瞳しか見えない。
それがまた、ドキドキを増長させていく中、坂井君はポツリポツリと話し出した。

「マヌケ面でもなんでも可愛いよ。つーか存在そのものが可愛いし」

そう言うとチュッとリップ音を立てて額にキスを落とす。
頬には坂井君の大きな手が触れて、そっと撫でてくる。

「ずっと我慢していたんだ。……母ちゃんに女心が分かっていないって言われたし。だからキスだってずっと我慢していた。……でももう限界。めぐみが可愛すぎるのが悪い」

「坂井く……」

名前を呼び終える前に唇が塞がれる。
思わず瞼を閉じるものの、すぐに離された唇に目を開けると、愛しそうに私を見つめる坂井君と目が合ってしまった。
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