毒舌紳士に攻略されて

「佐藤～飲んでいるかぁ？」

言葉と共に吐き出されたアルコール臭に、鼻をつまみたい衝動に駆られる。

もう～！琴美といい、高橋君もどれだけ飲んだのだろう。
しかも絡まれるとか、最悪すぎる。

高橋君はそこそこな男前で、きっと坂井君が同期にいなければ間違いなく、同期ナンバーワンの男前だったと思う。そして琴美に気がある残念な人だ。
しかも琴美には彼氏がいるというのに、それでも諦められないらしく飲み会のたびによく絡んでいるのを見かける。
その琴美がいなくなったからだろうか？こうしてきっと大して興味もない私に絡んできたのは。

「ちょっと高橋君、飲み過ぎ！」

強烈なアルコール臭に耐えながら、まだ飲もうとする高橋君を止めるものの、制止も虚しくジョッキに残っていたビールを一気に飲み干した。

「な～に言ってるんだよ！俺は全く飲み過ぎたりしてねぇよ！それより佐藤！！どうして毎回毎回黒川を、俺の断りもナシに勝手に帰したりしているんだよ！」