毒舌紳士に攻略されて
時刻は十一時十分前。
紳士的な彼のことだ。きっと約束の時間より遅れてくることはもちろん、ぴったりに来るという選択肢はないに決まっている。
そんな思いを抱えながらドアを開けると、見事に私の予感は的中してしまった。
ドアを少しだけ開けて見える視界の先には、見慣れた車と見慣れた人影。
「本当にいた……」
黒ロンTにボーダーのポロシャツ。そしてブラウンのチノパンというラフなスタイルさえも、やはり似合ってしまう坂井君がいつものように車に寄りかかった状態で待ち構えていた。
デートすると認識はしていたものの、実際に本人を前にすると急激にドキドキしてきてしまい、まずは落ち着こうと一旦ドアを閉めた。
「どうしよう」
ここまできて今更だけど、やっぱり私は坂井君のこと苦手だし、苦手な人と休日を共に過ごすなんて無理かもしれない。
それに金曜日はプロポーズまがいなことを言われたし、あっ、あんなことされたし……!
つい思い出してしまうのはあの日の夜感じた、坂井君のぬくもり。
二日経った今でも、鮮明に思い出せる。
ぬくもりも、匂いも全て――。
紳士的な彼のことだ。きっと約束の時間より遅れてくることはもちろん、ぴったりに来るという選択肢はないに決まっている。
そんな思いを抱えながらドアを開けると、見事に私の予感は的中してしまった。
ドアを少しだけ開けて見える視界の先には、見慣れた車と見慣れた人影。
「本当にいた……」
黒ロンTにボーダーのポロシャツ。そしてブラウンのチノパンというラフなスタイルさえも、やはり似合ってしまう坂井君がいつものように車に寄りかかった状態で待ち構えていた。
デートすると認識はしていたものの、実際に本人を前にすると急激にドキドキしてきてしまい、まずは落ち着こうと一旦ドアを閉めた。
「どうしよう」
ここまできて今更だけど、やっぱり私は坂井君のこと苦手だし、苦手な人と休日を共に過ごすなんて無理かもしれない。
それに金曜日はプロポーズまがいなことを言われたし、あっ、あんなことされたし……!
つい思い出してしまうのはあの日の夜感じた、坂井君のぬくもり。
二日経った今でも、鮮明に思い出せる。
ぬくもりも、匂いも全て――。