毒舌紳士に攻略されて
出掛ける準備を終えると、今度は緊張がやってくる。
あの坂井君とデートをすることになるなんて、全く想像できずにいたけれど……。彼は一体どこへ連れていってくれるのだろうか。
脅されて無理矢理することになったデートだけれど、トキメキが全くないと言ったら嘘になる。
脅されようが、無理矢理だろうがデートはデートだし。

琴美は「坂井ならきっとセンスいいところに連れていってくれるんじゃない?」なんて言っていたけれど、実は私もそんな予感がしている。
あの紳士的な坂井君だし。
きっと私がアッと驚くようなところに連れていってくれそうな気がする。

誰もいないリビングで、ソファーに座りながら色々な妄想をしていたが、ふとある疑問が頭に浮かんだ。

「そういえば待ち合わせ場所ってどこだろう……?」

日にちと時間は言われた。……でも場所は聞いていない気がする。
でも待って。あの紳士的な坂井君のことだ。なんとなく……なんとなくだけれど今考えていることが的中している気がする。

すぐさま立ち上がり、鞄片手に玄関へと向かう。
靴に履き替え、ドアの前で大きく息を吸って吐いて恐る恐る玄関のドアを開けた。
< 67 / 387 >

この作品をシェア

pagetop